India Industry Snapshot (2) コールドチェーン倉庫

コールドチェーン倉庫:海外企業にとってのビジネスチャンス

 

市場規模と将来の可能性

インドのコールドチェーン市場は、2023年に約150億米ドルと評価され、今後5年間で年平均成長率(CAGR1416%で成長し、2028年には300350億米ドルに達すると予測されています。この成長の要因には、都市化の進展、生鮮食品の需要増加、政府の支援策、食品加工、製薬、eコマース分野の拡大が挙げられます。さらに、インドにおける乳製品や食肉の消費増加、クイックコマースやオンライン食料品販売プラットフォームの拡大が、コールドストレージの需要を一層高めています。

 

コールドチェーン倉庫の現状と開発計画

インドには8,000以上のコールドストレージ施設が存在し、総容量は3,7004,000万メートルトンに達しています。また、政府は500以上のコールドチェーンプロジェクトを承認しており、その多くは官民連携(PPP)モデルのもとで進められています。特に、ウッタル・プラデーシュ州、マハーラーシュトラ州、西ベンガル州などの州では、新たなコールドチェーンプロジェクトが政府の支援を受けながら開発されています。

 

政府のインセンティブと補助金

インド政府はコールドチェーンインフラの促進のため、以下のようなさまざまな支援策を実施しています。

 

l  MIDH(園芸総合開発ミッション):コールドストレージやパックハウスの設立に対し、5075%の資本補助を提供。

l  PMKSY(農産物流通・加工近代化計画):統合型コールドチェーン開発のため、1プロジェクトあたり最大10億インドルピー(約120万米ドル)の資金支援。

l  インフラステータスの付与:コールドチェーン物流にインフラ施設としての地位を付与し、低金利融資へのアクセスを容易化。

l  税制優遇:コールドストレージサービスに対するGST(物品・サービス税)の軽減。

l  農業インフラ基金(AIF):コールドチェーン関連の融資に対する利子補助を提供。

 

海外のコールドチェーン機器メーカーにとってのビジネス機会

インドのコールドチェーン市場の拡大により、海外の冷蔵・保管設備メーカーにとって大きな商機が生まれています。特に需要の高い分野は以下の通りです。

 

冷却システム:省エネルギー型コンプレッサー、アンモニア冷却システム、CO冷媒ユニット。

断熱パネルと保管ラック:高品質ポリウレタンフォーム(PUF)パネルを使用した倉庫向け設備。

温度監視およびIoTソリューション:高度な温度・湿度管理センサー、リアルタイム監視システム。

冷蔵輸送車:乳製品、シーフード、医薬品向けの多温度帯輸送ソリューション。

急速冷凍機および急速冷凍ユニット:エビや冷凍果物など、高付加価値生鮮食品の輸出向け。

まとめ

インドのコールドチェーン産業は、政府の積極的な支援と民間投資の増加により急速に拡大しています。効率的な冷蔵設備への需要が高まる中、海外の設備メーカーにとって市場参入の絶好の機会が広がっています。特に、コスト効率が高く、省エネルギーかつ持続可能な冷却ソリューション を提供する企業は、インドのコールドチェーン市場で成功する可能性が高いでしょう。

 

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